スマートフォンを利用して検索したお店に電話をかけたとき、Google広告経由で電話している場合があることをご存知でしょうか。
これらの広告は、ユーザーとしてはワンクリックでお店に電話をかけることができ、広告主側でも非常に有効なデータ集約の方法となります。
そこで今回は、Google広告の電話コンバージョン計測について、測定・設定方法や確認方法、分析のポイントを詳しく解説していきます。
目次
はじめに、Google広告の電話コンバージョンについて説明します。
電話コンバージョンとは何か、また電話コンバージョンのCVR(Conversion Rate、コンバージョン率)について確認しましょう。
Google広告における電話コンバージョンとは、スマートフォン上に広告として表示された電話番号に対して、ユーザーがお店などに電話することを指します。
電話コンバージョンのカウント方法はいくつかあり、1つは広告の電話番号がタップされた回数だけのカウント、もう1つは電話番号タップから実際に通話した回数のカウントです。
リスティング広告の一般的なCVRの平均値は、業種によって変動はあるものの、約1〜5%ほどと言われています。
これに対し、電話コンバージョンの平均CVRは、正確な数値は公開されていないものの、WEB上への電話番号表示により向上する傾向があります。
このCVRも表示方法によって数値は変動しますが、適切な広告表示をすれば、電話コンバージョンによって全体のCVRを高めることができます。
Google広告における電話コンバージョンにおいては、とにかく多数のユーザーに電話してもらうことが大切です。
ここでは、電話コンバージョンの効果を最大限得るための運用のポイントについて説明します。
Google広告を出す際、電話番号と合わせて住所も一緒に表示することで、CVRがアップするケースがあります。
例えば、ユーザーが直接お店に訪れることを目的とする飲食店などは、電話での問い合わせは「近くにあるお店を探している」ことを意味します。
このため、ユーザーの現在地から近い住所が表示されている広告に対して、電話で問い合わせる可能性が高くなるでしょう。
店舗の営業時間に合わせて、電話番号を表示する方法も効果的です。
CVRを高めるためのGoogle広告ですが、店舗の営業時間外にも電話番号を掲載してしまうと、ユーザーが電話番号をタップしても電話自体は繋がりません。
たとえ電話が繋がらなくても、Google広告はユーザーが電話番号をタップすればカウントしてしまうので、せっかくのタップも無駄な広告費と化してしまうのです。
このような状況を避けるため、電話番号を掲載する設定を店舗の営業時間内に設定すると、より効果的でしょう。
Google広告に電話番号を掲載する場合、ターゲットをモバイルユーザーに絞る方法も効果的です。
電話をかけるシチュエーションでは、パソコンでの検索画面を目視して電話をするよりも、スマートフォンでの検索画面から直接電話してもらうケースの方が圧倒的に多いと想定されます。
このことから、広告の表示をモバイルユーザーに限定するという判断も有効です。
広告の表示先がモバイルのみになれば、より効果的なターゲットに絞り込んで配信できるようになります。
Google広告の電話コンバージョンの効果を最大限に得るためには、コンバージョン計測が必要不可欠です。
適切にコンバージョン計測を行うことで、費用対効果を高める重要なヒントを得られることでしょう。
ここでは、Google広告における電話コンバージョン計測のメリットを3つ紹介します。
Google広告の電話コンバージョンを計測することで、広告経由の電話による問い合わせや電話予約の状況を把握できます。
広告経由以外での電話問い合わせが多い場合、電話番号の広告はあまり効果がない可能性があるでしょう。
逆に広告経由での電話問い合わせが多い場合は、その広告が非常に効果的であると言えます。
Google広告の電話コンバージョン計測は、広告の費用対効果の改善にも有効です。
広告経由でWEBサイトから予約ができる場合、ある程度は広告の効果を把握できますが、予約しないで来店するユーザーもいます。
これらを考慮すると、広告経由での「予約数」だけではデータとして不十分とわかるでしょう。
そこで活躍するのが電話コンバージョンのデータです。
予約数と電話コンバージョンの両面から検討することで、より精度の高い広告の分析が可能になり、費用対効果改善への糸口を見つけられるようになります。
Google広告の電話コンバージョン計測は、MCV(マイクロコンバージョン)測定にも活用できます。
電話、メールなど複数のCVポイントがあるWEBサイトの場合、MCVを設定すれば、広告の最適化・分析に利用できる場合があります。
電話問い合わせが発生している場合は、電話コンバージョン測定も実施することで、より正確なデータの捕捉が可能になります。
Google広告では、設定方法によって「電話番号をタップした回数」「広告経由の通話」という2種類の測定が可能です。
「電話番号をタップした回数」では、電話番号をタップした回数のみを測定するため、実際に通話が行われたかは測定できません。
「広告経由の通話」では、実際に通話が行われた回数を測定するため、より精度の高い分析ができます。
Google広告における電話コンバージョンの測定方法について4つ紹介します。
それぞれの特徴を理解した上で、測定方法を選択しましょう。
Google広告の専用転送電話番号は、Googleが提供する電話番号を利用する方法です。
広告への表示だけでなく、ランディングページ(LP)へ誘導する際の電話番号としても利用できます。
Google広告を利用している場合、新たに電話番号を用意する必要がなく、比較的簡単に導入できます。
電話番号表示オプションは、Google広告のリスティングで利用できるオプションのことです。
広告内に会社や店舗の電話番号を表示でき、スマートフォンの場合、電話番号をタップするとすぐに電話がかけられます。
リスティング広告に電話番号を表示できるので、スマートフォンユーザーからの反応を得やすくなります。
電話番号をタップしただけで1回にカウントするため、実際に通話した回数とのずれが生じます。
電話専用広告は、電話表示オプションと広告表示画面は似ているものの、以下の2つが異なります。
スマートフォンのみに配信できることに加え、電話番号をタップしてもLPに飛ばずに電話をかけられます(水漏れ修理など、一刻も早く電話で問い合わせしたいサービスに向いています)
ランディングページへの誘導ができないため、商品情報やアクセスページなどを含む一般的な店舗用のWEBサイトには不向きです。
Googleタグマネージャーは、Googleが提供しているWEBサイトに設定する各種タグを管理するためのツールです。
事前にWEBサイトにGoogleタグマネージャーを導入しておけば、新たにタグを追加する場合でも簡単にWEBサイトに反映できるようになります。
すでにGoogleタグマネージャーを利用している場合、タグを追加するだけで簡単に電話コンバージョンを測定できます。
電話番号のタップ回数のみがカウントされ、通話回数は測定されません。
Google広告の専用転送番号で電話コンバージョンを測定する場合の設定方法について解説します。
Google広告の管理画面だけで設定が済むため、手間をかけずに設定したい方にオススメです。
Google広告にログインし、画面右上にある「ツールと設定」をクリックします。
メニューが開いたら、「測定」→「コンバージョン」をクリックします。
画面左上にある「+新しいコンバージョンアクション」をクリックします。
トラッキングするコンバージョンの種類を「電話件数」にします。
加えて、トラッキングする通話の発生元を選択します。
今回は「ウェブサイトに掲載した電話番号への問い合わせ」にします。
※ここは必要に応じて選択してください。
コンバージョンアクションの設定を行います。
コンバージョン名はわかりやすいものにしましょう。
タグの取得方法を選択します。
今回は「タグを自分で追加する」に設定します。
「Googleタグ」のタグ、および「電話番号スニペット」のスニペットを測定したいWEBサイトへ貼付けることで、電話番号が自動的に「0800」から始まる番号に置き換わります。
本方法において、Googleタグマネージャーを利用することも可能ですが、Googleタグマネージャーを利用すると、電話番号のタップ回数しか計測ができなくなります。
さらに精度の高い測定を必要とする場合は、Googleタグマネージャーは利用せず、WEBサイトへ直接タグを設置するようにしましょう。
電話番号表示オプションで電話コンバージョンを測定する場合の設定方法について解説します。
こちらの方法も管理画面で比較的簡単に設定できます。
Google広告へログインし、「広告とアセット」→「アセット」を選択したのち、「電話」をクリックします。
電話番号の追加画面が開いたら、電話番号の追加先と電話番号を入力し、「保存」をクリックします。
※広告のプレビュー画像が右側に表示されます。
続いて、左側のメニューから「設定」→「アカウント設定」をクリックします。
アカウント設定内の通話レポートの設定を「オン」にします。
これにより、広告に表示される電話番号が「0800」から始まる番号に置き換わり、通話レポートで計測できるようになります。
電話専用広告で電話コンバージョンを測定する場合の設定方法について解説します。
スマートフォン上のみ配信できる広告のため、PCにも配信したい場合は、電話番号表示オプションなどを利用するようにしましょう。
Google広告へログインし、「広告とアセット」→「広告」を選択したのち、「電話専用広告」をクリックします。
電話専用広告作成画面で、電話番号やその他の広告に必要な情報を入力していきます。
続いて、左側のメニューから「設定」→「アカウント設定」をクリックします。
アカウント設定内の通話レポートの設定を「オン」にします。
これにより、広告に表示される電話番号が「0800」から始まる番号に置き換わり、通話レポートで測定できるようになります。
最後に、Googleタグマネージャーで電話コンバージョンを測定する場合の設定方法について解説します。
すでに広告運用などでGoogleタグマネージャーを利用していれば、簡単に設定可能です。
Googleタグマネージャーを開き、アカウント設定を行います。
取得したタグを、指示通りにWEBサイトへ設置します。
Googleタグマネージャーの左側のメニューから「変数」を選択し、「クリック」内のすべての項目にチェックを入れます。
次に、左側のメニューから「トリガー」をクリックし、右上にある「新規」を選択します。
新規トリガー作成画面で、トリガーのタイプを「リンクのみ」に設定します。
トリガーの設定画面より、待ち時間の上限と妥当性のチェックを入れたら、計測するWEBサイトのURLを入力します。
トリガーの発生場所では「一部のリンククリック」を選択します。
また、「イベント発生時にこれらすべての条件がtrueの場合にこのトリガーを配信します」という項目について、1番左のプルダウンメニューから「組み込み変数を選択します…」→「Click URL」を選択します。
真ん中のプルダウンメニューに「含む」を設定し、1番右のテキストボックスに電話番号を入力します。
Googleタグマネージャーの左側のメニューから「タグ」をクリックし、右上の「新規」を選択します。
タグタイプの選択になるので、「Googleアナリティクス:GA4設定」を選択してください。
タグの設定で、測定IDにGoogleアナリティクスの測定IDを入力します。
また「この設定が読み込まれるときにページビューイベントを送信する」にチェックを入れます。
トリガーの選択で「クリック」を選択し、「保存」をクリックします。
最後に、画面右上にある「公開」をクリックして設定完了です。
公開ボタン横にある「プレビュー」をクリックすると、Googleタグマネージャーの動作確認で正常に動作しているか確認できます。
これまでGoogle広告における電話コンバージョンの各種設定方法について解説しましたが、次は測定結果の確認方法について解説します。
測定結果はGoogle広告の通話レポートから確認ができます。
Google広告にログインし、画面上部の「レポート」をクリックします。
メニューの中から「事前定義レポート(詳細分析)」→「アセット」→「電話番号アセット」を選択します。
電話番号アセットの画面で、通話に関するデータの詳細が確認できます。
最後にGoogle広告における電話コンバージョン測定の分析ポイントについて3つ解説します。
電話コンバージョンを設定したら、必ず分析を行い、データを有効に活用しましょう。
電話コンバージョンの測定結果は、広告運用の改善に活用できます。
一般的な広告運用では、クリック率やコンバージョン率のデータから出稿キーワードの修正を行います。
電話コンバージョンも同様に、得られたデータを用いて、どのキーワードで広告を出すとCVR(コンバージョン率)が上がるかなどを分析し、改善していくことができるのです。
ランディングページに電話番号を掲載している場合、LPO(Landing Page Optimization、ランディングページ最適化)への活用もできます。
電話コンバージョンは、電話番号の掲載場所によって変化します。
一般的な広告運用改善を行うときと同様に、テストしながら電話コンバージョンが最大に得られる掲載場所のヒントを得られるのです。
WEBサイトのコンバージョンと電話コンバージョンの数値や割合を比較したり、総合的に判断したりすることで、ユーザー心理も分析できます。
メールよりも電話での問い合わせが多い場合、電話コンバージョンを増やすことで、全体のコンバージョン増加が期待できます。
電話番号の掲載場所を修正してみたり、電話対応可能数を増やすなど、電話コンバージョンに関する施策の検討も効果的と言えるでしょう。
今回はGoogle広告における電話コンバージョンの測定・設定方法や確認方法、分析のポイントについて解説しました。
電話コンバージョンの測定はリスティング広告のCVR増加や、電話問い合わせデータの把握・分析には非常に重要です。
特に電話での問い合わせが多い業種やサービスでは、適切に測定を行い、データ分析を行えば、コンバージョン数の増加につながります。
測定方法の特徴を理解した上で、電話コンバージョンの改善を図っていきましょう。